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財務省ニュース
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関税・外国為替等審議会 総会 配付資料一覧(令和7年5月14日) - 2025年5月14日
関税・外国為替等審議会 第61回外国為替等分科会 資料 - 2025年5月14日
関税・外国為替等審議会 関税分科会(令和7年5月14日開催)配付資料 - 2025年5月14日
第35回民間都市開発債券(グリーンボンド)に対する政府保証の付与 - 2025年5月14日
国債整理基金による買入消却に係る国債の買入れのための入札結果(令和7年5月14日) - 2025年5月14日
製造たばこの小売定価の認可 - 2025年5月14日
谷垣 征一郎様に「トランプ2.0時代の環境政策アップデート~再選から6ヶ月、米国脱炭素政策の行方と州vs連邦の攻防~」について、ご講演いただきました - 2025年5月14日
国債整理基金による買入消却に係る国債の買入れのための入札(令和7年5月14日) - 2025年5月14日
入札、落札結果情報(工事等)
- 2025年5月14日
相続税の計算方法について、ここでは分かりやすく説明しています。一緒に勉強しましょう。
1.遺産総額の計算
遺産総額を求めます。まず、相続税がかかる対象となる資産である相続財産を洗い出して、各財産がいくらになるか算定し集計します。
遺産総額 (相続税がかかる財産) |
など |
---|
(解説)
財産は相続税上、次の3つに分類できます。
・本来の相続財産(亡くなった時点で、被相続人名義となっている財産)
・みなし相続財産(課税時には被相続人名義の財産ではなく、民法上は相続財産として遺産分割の対象ではないが、相続税の計算をする場合には、相続財産に含めなければならない財産。たとえば死亡保険金や死亡退職金のこと)
・非課税資産(社会的・政策的に課税することがふさわしくないものとして、課税対象とならない資産。たとえば、墓所・墓地や仏壇など)
非課税資産を除く、相続税の対象となる相続財産には上の表のようなものがありますが、中には生前に贈与した財産も相続税法上含まれることがあります。
なお、各相続財産の評価の方法については、個別に算定方法があり難しいので、ここでは取り扱っていません。
2.課税価格の計算
次に課税価格の計算をします。課税価格とは、簡単に言えば借入などマイナスの財産を考慮したりした結果の、正味の遺産総額のことです。
課税価格 | = | 遺産総額 | – |
|
---|
(解説)
課税価格とは、被相続人の借入などマイナスの財産である債務や、葬儀にかかった費用、あるいは見なし相続財産である生命保険等がある場合のその一部について、先に求めた遺産総額から差し引いた、正味の相続財産の額のことです。この額が課税の対象となります。借入が多い場合などに差し引かれないと、大変なことになるのは簡単に想像できますよね。死亡保険などがある場合には、全額がそのまま相続財産として相続税の課税対象となると、保険に期待していた効果が減ってしまい困ってしまいます。
3.課税遺産総額の計算
課税遺産総額を求めます。先に求めた課税価格から、一定の額(基礎控除3000万円)と相続人の数を考慮した額(600万円×法定相続人の数)を差し引きます。
課税遺産総額 | = | 課税価格 | – | (基礎控除額)3,000万円+(600万円×法定相続人の数※) |
---|---|---|---|---|
※法定相続人の数は、民法の法定相続人の数に、相続放棄した者がいる場合もその者を算入します。 |
(解説)
正味の相続財産として課税価格を算定しましたが、このままでは正味の相続財産が少ない場合にも、相続税が生じてしまいます。相続財産が少ない場合にも、いちいち申告・納税しなければならないならば、相続人や税務当局の負担が増加するとともに、各相続人の相続財産が減ってしまいますので、相続税の制度そのものが受け入れづらいものとなります。この基礎控除額3000万円や法定相続人1人あたり600万円の控除は、このための調整と言えます。
法定相続人の数が多い場合は、上記の計算のとおりその分、課税遺産総額が少なくなることがわかります。なお、この後説明する相続税総額も法定相続人個別に算定する上で額が少ないほど税額そのものも少なくなる構造です。したがって法定相続人が多いほど、相続税の総額が少なくなるメリットがあります。
4.相続税総額の計算
これからは、相続税の税額の計算をします。まずはが全ての相続人が納付する相続税の総額を最初にまとめて算定します。このとき、実際の相続の状況ではなく(たとえば相続人のうちに相続放棄した者がいたとしても無視して)、いったん仮に各法定相続人が法定相続の割合で相続財産を相続したと仮定して税額の総額を計算します。
初めに、仮の法定相続人ごとの相続財産の額(法定相続分財産額)を算定し、次に各々の法定相続人ごとに仮の相続税額を算定します。最後に各々の法定相続人ごとの仮の相続税額を合計して、相続税総額とします。
各法定相続人の仮の相続税額
1.法定相続人の確定
2.「課税遺産総額」を、法定相続の割合で相続したと仮定して按分(A)
3.法定相続人ごとの仮の相続税額を算出し、合計して相続税総額を算定
相続税の速算表を用いた仮の相続税額の計算
計算方法: 税額 =(A)×(B)-(C)
相続税額 | = | 「各法定相続人の仮の相続税額」の合計 |
---|
(相続税の税率・速算表)
各人の法定相続分財産額(A) | 税率(B) | 控除額(C) |
---|---|---|
~1,000万円以下 | 10% | – |
~3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
~5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
~1億円以下 | 30% | 700万円 |
~2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
~3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
~6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超~ | 55% | 7,200万円 |
(解説)
ややこしくなりましたね。先の相続財産個々の価格の評価と並んで、このあたりが相続税の申告を税理士に頼む大きな理由の一つです。難しいため詳しい計算構造は省略しました。
なぜこのような仮の計算をするかというと、実際の相続の状態にしたがって相続税の総額を決めてから相続人に税額を分割したり、相続税の総額を求めずに相続人個別に直接税額を計算すると、その相続の状況ごとに相続税額の総額が異なってしまうためです。たとえば、現実の相続では、親族とは関係ない人が相続人となったり、配偶者や直系の子などが相続を放棄するなど、いろいろな相続人のパターンがあり得ますよね。
このように状況によって相続税額の総額が異なると、それぞれの相続の案件の事情ごとに差が出て公平ではなくなってしまいます。
最後に、計算過程を簡単に説明します。ちょっと見て分からないときは、ぜひとも税理士事務所にご相談ください。
【1法定相続人の確定】
まず、法定相続人とは、実際に相続する予定の相続人の構成は無視した、相続税法上の(法定)相続人のことです。これは通常1つの構成(組み合わせ)しかありません。
たとえば親族構成として、
①配偶者と子(直系卑属)は常に法定相続人となります。子が死亡していれば、その子の子(被相続人の孫:この場合直系卑属となる)が法定相続人となります。なお、相続開始後に生まれた胎児や、養子、認知された子も含みます。
②子(孫)が全くいなければ、父母(直系尊属:父母とも死亡していれば祖父母など)が法定相続人となります
③子、父母が全くいなければ、兄弟姉妹(亡くなっていればその子・孫)が法定相続人になります。
【2法定相続の割合で相続したと仮定して、課税遺産総額を按分し法定相続分財産の額を算定】
次に、法定相続人が複数いれば、課税遺産総額をそれぞれ定められた法定相続の割合で分割(按分)し、仮の法定相続人ごとの法定相続分財産の額を算定します。実際の相続財産の分割割合は任意に決めますが、ここでは無視しますので、「仮の」・「仮定の」といった言葉が出てくるのです。
①子(孫)が法定相続人の場合
配偶者が1/2、子については、残り1/2について人数でさらに分割します。子だけの場合、その人数で分割します。なお、法定相続人が配偶者だけの場合は全額配偶者に配分されます。
②子(孫)がおらず父母(祖父母)が法定相続人の場合
配偶者がいれば配偶者が2/3、父母については残りをその人数で分割します。
③子(孫)、父母(祖父母)がおらず兄弟姉妹(その子・孫)が法定相続人の場合
配偶者がいれば配偶者が3/4、兄弟姉妹については、残りをその人数で分割します。
【3各法定相続人ごとの仮の相続税額の算定および合計した相続税総額の決定】
最後に、各法定相続人ごとに(仮の)相続税額を算定して、これを合計して相続税総額を決定します。
相続税は、所得税と同様に課税される遺産が多くなるほど税率が高くなる、累進課税方式になっています。税率は各人毎に分割(按分)した法定相続分財産の額に応じて、8段階の10%から最高55%までとなっています。
なお、上の図表のとおり、税額は相続税率の速算表で簡単に計算することができます。
たとえばある法定相続人に分割(按分)された法定相続分財産の額が2000万であった場合、上の表では上から2つ目の段階(法定相続分財産(A)~3000万以下]、税率(B)[15%]、控除額(C)[50万])となります。よって、上の計算方法の式に当てはめると、
税額 =(A)×(B)-(C)
=2000万円 × 15% ー 50万
=250万円
となります。
このように求めた各法定相続人ごとの仮の相続税額を合算して、相続税総額が求まりました。
5.各相続人の相続税額の計算
「相続税総額」を、実際に相続した遺産の課税価格の割合に応じて按分します。
そこから相続人ごとの軽減額や諸控除額を差し引き、各相続人の納付税額を決定します。
各相続人の相続税額 | = ( | 相続税総額 | × | 各相続人の課税価格 課税価格の合計額 |
)- | 軽減額や諸控除額 「配偶者の税額軽減、未成年老控除」など |
---|
(解説)
相続税の計算過程もこれで最後です。
先に「仮の法定相続人ごとの仮の相続税額」を算定して合算した税額「相続税額総額」を算定しました。これを、実際の各相続人が相続する財産の課税価格に基づき分割(按分)していきます。
たとえば、相続財産の課税価格4000万円のうち、ある相続人が1000万円を相続した場合、仮の計算で算出した上記の相続税総額が200万円であれば、相続税総額200万円を課税価格で按分(1000万円/4000万円⇒1/4)した50万円が、按分した相続税額となります。
さらに、実際の相続人ごとに、軽減額や控除額が使える場合は、分割した税額からさらに差し引くことができます。
【相続税額から差し引ける軽減額や諸控除の例】
・配偶者の税額軽減
相続人が配偶者の場合、次の金額を相続税額から控除できます。
相続税の総額 × ( 次の①又は②のうちいずれか少ない金額 / 課税価格の合計額 )
①課税価格の合計額に配偶者の法定相続分を掛けて計算した金額、または1億6000万円のいずれか多い方の金額
②配偶者の課税価格
簡単に言えば、配偶者が相続や遺贈により取得した財産の価格が、「配偶者の法定相続分以下(相続税総額の1/2以下)」である場合、または「1億6000万円以下」である場合には、配偶者には相続税はかかりません。
なお、配偶者の税額軽減を受けるためには、下記の要件があります。
①結果として配偶者の相続税額がゼロであっても、相続税の申告が必要です
②相続税の申告期限までに分割が確定していない財産については、この軽減を受けることはできません。その場合は、いったん軽減を受けずに相続税を納める必要があります。
・未成年者控除
相続人が満20歳未満の未成年の場合、次の金額を相続税額から控除できます。
相続開始の日からその人が満20歳になるまでの年数×10万円(1年未満の期間は切上げ)
なお、相続人が、被相続人の配偶者か1親等の血族でない場合は、相続税が2割増しになります。血族とは血のつながりのある親族のことです。なお、1親等の血族には、被相続人の直系卑属である者であって、その被相続人の養子となっている者は含まないこととされています。したがって、被相続人の子が存命でその子(被相続人の孫)が被相続人の養子である場合は2割増しとなりますが、被相続人の子が死亡している場合のその子が被相続人場合は、これまでの説明のとおり法定相続人であり2割増しにはなりません。被相続人の子が存命でその子を養子とする場合に相続税額が2割増になりますが、被相続人の子への相続分を1回飛ばして孫へ相続できることによる節税が可能となる場合もあります。
この結果、実際の相続人ごとの税額が決定されることとなりました。
実際には個々の相続事例ごとに検討事項が多く、相続税の算定も難解なため、一度相続について親族で話し合い、弁護士や税理士等の相続の専門家に早めに相談することがよいと